今回は偏微分について話をしようと思います。”偏った”微分と書き、英語では partial derivative といいます。”derivative”が微分という意味で、”partial”すなわち部分的に微分するという意味です。
偏微分するとは何をすることなのか見るために、まず具体例を考えます。偏微分を表す記号としては、を用います。”デル”などと読んだりします。これを通常の微分の時のように用いて、ある関数、例えばのについての偏微分は次のように書かれます。
で偏微分を行う際には、以外の変数を定数だと見なします。だけを変数と思って微分しなさいということです。今回の場合だと、は定数だと思って、のみについて微分を行いなさい、ということです。すなわち
同じ関数を今度はについて偏微分することを考えましょう。
この場合はを定数と見なして、変数についての微分を行います。すなわち
となります。
例えば同じ関数をで偏微分することを考えた際には、もも定数と見なすので、答えはになります。
関数の偏微分の書き方についてなのですが、これには色々な書き方があります。最もオーソドックスなのは
と書くやり方です。また次のような書き方もされます。
添字は、変数は定数と見なしましょう、という意味です。これらも省略されて、
と書かれることも多くあります。またさらに簡略化された別の書き方とて、やと書くこともあります。添字はについての偏微分という意味を表します。
これらは全て、に関する偏微分、すなわち以外の変数を定数と見なして、で微分せよという意味を表します。
通常の微分と同様に、2階以上の偏微分というものも存在します。次のように書かれます。
偏微分は、様々な変数に関して行うことが可能です。例えば、関数をについて偏微分したものを、さらにについて偏微分する場合、次のように書きます。
ここで大事な点があります。2階の偏微分
が共に”連続”であれば、
が成り立ちます。この時は偏微分を行った結果が、偏微分を行う順序に依らなくなります。物理で扱うたいていの関数ではこれが成り立つので、覚えておくと良いでしょう。