今回は線形代数学について話をします。線形代数学はベクトルと行列の学問です。このことを知らなかった私は、最初に線形代数を学んだ頃、何をやっているのか分かりにくく、戸惑いました。線形代数学は高校の数Cの延長だと思ってしまえば、少しは理解し易くなるかと思います。
まず、”線形代数学”という言葉がどのようにベクトル、行列などと関係しているか説明したいと思います。
代数学というのは、文字式等を用いて数の代わりに様々なものを扱う学問です(※)。また”線形”という言葉は英語では”linear”という言葉に対応します。これは、”直線的な”や”1次の”などといった意味があります。1次というは2つ以上の代数を掛けることがない、ということを表しています。例えばはという代数の2次の量です。こういった2次以上のものが出てこない、一次の代数を扱う学問が線形代数学です。
具体的に線形代数の言葉と、ベクトルや行列の言葉がどのように対応しているかを見てみましょう。
線形代数では”元”という言葉を用います。これは集合の中のある要素xという意味なのですが、線形代数で出て来る場合、これはベクトルだと思ってもらってよいかと思います。また”写像”という言葉もよく使われます。これは高校までに扱ってきた関数fのようなものですが、線形代数で出て来る場合、これは行列だと思ってもらってよいかと思います。
元ベクトル
写像行列
写像というのは、各元に対してある値を返すものです。行列も、あるベクトルに掛けられることで新たなベクトルを生成します。この点から、行列も写像、関数と同じような働きをすることが分かります。
ここまでざっくりと線形代数のイメージを説明してきましたが、このようにベクトル・行列のイメージを持っておくと、理解がしやすいかと思います。
(※)ただし現代的な代数学は必ずしも「数の代わり」ではありません。演算(実数ならば+-×÷)が定義された集合を扱う数学が、現代的な意味での「代数学」です。